「変わらない会社」には、共通点がある。
DX。AI。業務改革。
ここ数年、多くの企業で変革への取り組みが進められています。
しかし、その一方で、
「システムは導入したのに現場は変わらない。」
そんな声を耳にすることも少なくありません。
今回Spotlightでお話を伺ったのは、株式会社PRAXTA代表・内堀公章氏。
アクセンチュア、IBM、ベイカレント・コンサルティング、Ascent Business Consultingなどで20年以上にわたり企業変革を支援し、現在は「実践(Praxis)」を理念に掲げるPRAXTAを率いています。
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今回のテーマは、
「会社を変えるのは、システムではなく人。」
DXの本質、UXへの考え方、そしてAI時代に求められる人材について、お話を伺いました。
▶「DX」は、システム導入ではない。
FeatU
まず最初にお聞きしたいのですが、DXという言葉が一般化した今、現場で感じる違和感はありますか。
内堀氏
ありますね。かなりあります。
DXがいつの間にか、「新しいシステムを導入すること」になってしまっている。
FeatU
たしかにそう聞こえる場面もあります。
内堀氏
本来DXは事業や業務の変革です。
でも実際には、SAPやSalesforceなどの「新しいプロダクトを入れました」
「AIツールを導入しました」で終わってしまうケースも少なくありません。
FeatU
導入したことがゴールになっている。
内堀氏
そうです。SAPもSalesforceも優れたプロダクトではありますが、導入しただけでは会社は変わりません。ライセンスフィーも高額で、使いこなすことが重要であるのにそれができてない企業も散見されます。
極端な話、古いExcelを新しいExcelに置き換えただけかもしれない。
変革とは、業務そのものが変わることです。
▶良いシステムなのに、なぜ現場は使わないのか
FeatU
長年DX案件に携わる中で、失敗するプロジェクトには共通点がありますか。
内堀氏
あります。業務理解が足りないと業務デザインが不十分なことです。
FeatU
業務理解と業務デザイン。
内堀氏
システムインテグレートが主眼になってしまうと
経営層とベンダーだけで議論が進む。
要件定義は完璧。機能も十分。予算も確保されている。
それでも失敗する。
FeatU
なぜでしょう。
内堀氏
現場を見ていないからです。
そして、現場に経営として何をしてほしいか、どんな業務に変わってほしいのか伝わってないのです。
なんとなくの費用対効果(ROI)でシステムインテグレートが始まってしまう。
現場もなんとなくで始まる。
しかし、実際の業務には例外処理があります。
担当者しか知らない判断があります。
組織特有の文化があります。
そこを理解しないまま設計すると、
システムとしては正しいけれど、仕事としては回らない。
FeatU
結果として。
内堀氏
業務処理用のExcelが復活します(笑)
紙も復活します。
そして現場は元のやり方に戻る。
これは本当によくあります。
▶一番難しいのは「人」
FeatU
大規模プロジェクトで印象的だった経験はありますか。
内堀氏
数百人規模のプロジェクトですね。
技術的には難しくない。
でも全員が違う正義を持っていた。
FeatU
違う正義。
内堀氏
営業には営業の正義がある。
企画には企画の正義がある。
IT部門にもある。
現場にもある。
それぞれが会社を良くしたいと思っている。
でも見ている景色が違うんです。
FeatU
それをまとめるのがプロジェクト。
内堀氏
そうです。
だからプロジェクトは技術課題ではなく、
合意形成の仕事なんです。
FeatU
なるほど。
内堀氏
優れたプロジェクトマネージャーは、
答えを持っている人ではなく、対話を作れる人だと思います。
▶UXはアプリの中だけの話ではない
FeatU
お話を聞いていると、かなりUX的な考え方を感じます。
内堀さんにとってUXとは何でしょうか。
内堀氏
人が迷わず目的にたどり着ける状態ですね。
FeatU
それはアプリやWebサービスだけの話ではなく?
内堀氏
もちろん違います。
私は業務もUXだと思っています。
FeatU
業務も。
内堀氏
会議もUXです。
組織もUXです。
プロジェクトもUXです。
結局、人が自然に動ける状態を設計することだからです。
FeatU
デザインの定義に近いですね。
内堀氏
そうかもしれません。
デザインとは、
人と組織の行動を設計することだと思っています。
とても、難しいことですが、目指す業務デザインを現場の誰にでもわかる言葉ひとことで伝えてほしいんですよ。
▶コンサルタントとデザイナーは似ている
FeatU
デザイナーに対してどんな印象を持っていますか。
内堀氏
もっと経営に近づいてほしいですね。
FeatU
なぜでしょう。
内堀氏
優秀なデザイナーほど、
実は問題解決をしています。
それはコンサルタントと本質的に同じです。
FeatU
同じ。
内堀氏
違うのはアウトプットだけです。
コンサルタントは言葉や資料で表現する。
デザイナーは体験や形で表現する。
でも本質は、課題を見つけて解決することです。
▶AI時代に残る人
FeatU
AI時代に求められる人材はどう変わると思いますか。
内堀氏
分析や資料作成はAIが得意になるでしょう。
でも、
何を変えるべきか。
なぜ変えるべきか。
その問いは残ります。
FeatU
問い。
内堀氏
企業の課題は、
答えがないことばかりです。
だからこれから価値を持つのは、
問いを立てられる人だと思います。
▶変わる会社と変わらない会社
FeatU
最後に。
20年以上変革を支援してきて、
変わる会社と変わらない会社の違いは何でしょうか。
内堀氏
対話ですね。
FeatU
対話。
内堀氏
変わる会社は、
経営と現場がちゃんと話しています。
逆に変わらない会社は、
正しい資料だけが増えていく。
FeatU
耳が痛いですね(笑)
内堀氏
私もずっとPowerPointを作ってきましたから(笑)
でも結局、
会社を変えるのは資料ではない。
人なんです。
編集後記
今回のインタビューで印象的だったのは、「変革はシステムではなく、人によって実現される」という一貫した考え方でした。
新しいツールやAIが登場しても、それを使うのは人です。
現場を理解し、人が動ける仕組みをつくること。
その積み重ねが、本当の意味でのDXにつながっていくのだと感じました。
私たちFeatUも、「デザインとビジネスをつなぐ」というテーマを掲げています。
デザインとは、見た目を整えることではなく、人が理解し、行動し、価値を生み出せる状態を設計すること。
その考え方は、内堀氏が語るDXやUXとも深く重なっていました。