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ポッキーが「シェアする体験」を再設計。誰もが自然に参加できるパッケージに込められたデザインの力とは?

お菓子のパッケージは、何のために存在するのでしょうか。

商品を保護するため。持ち運びやすくするため。店頭で消費者の目を引くため。

もちろん、どれも重要な役割です。

しかし、パッケージそのものが、人と人とのコミュニケーションを生み出すこともできるのではないでしょうか。

今回注目するのは、江崎グリコが発売60周年を迎えた「ポッキー」で新たに開発した「シェアハピ!パッケージ」です。​

2026年10月13日から期間限定で発売されたこの商品には、誰もが自然にお菓子を分かち合える体験をつくるというデザインの思想が込められています。

■ パッケージの形を変えることで、シェアする体験を変える

今回登場した「シェアハピ!パッケージ」は、いつものポッキーの箱に、ちょっとした仕掛けを加えたものです。

箱の裏面にある「PUSH!」の部分を押し込むと、ポッキーの内袋を差し込めるようになります。

つまり、ポッキーの箱が、そのままみんなでつまめるスタンドに変身するのです。

例えば、2つの内袋を左右に向けてセットすれば、テーブルを囲む人たちが、それぞれの方向からポッキーに手を伸ばせます。

違う味のポッキーを並べて、みんなで食べ比べることもできます。

これまでの箱は、ポッキーをしまっておくためのもの。食べるときには、中身を取り出すのが当たり前でした。

でも今回は、その箱自体が、みんなでポッキーを楽しむための道具になります。

「お菓子を入れる箱」から、「お菓子を囲む時間をつくる箱」へ。

変えたのは、箱の裏側にある小さな切り込み。

でも、その小さな工夫が、ポッキーの食べ方だけでなく、人と人のコミュニケーションまで広げていきます。

デザインが変えたのは、パッケージの形だけではなく、そこから生まれる体験そのものなのです。

■ 多様なユーザーとの共創から生まれたデザイン

今回の開発には、インクルーシブデザインを専門とするNPO法人Collableが協力しています。

インクルーシブデザインとは、年齢や障害の有無、身体的特徴など、多様な人々の視点を取り入れながら、より多くの人が利用しやすい製品やサービスを設計する考え方です。

江崎グリコは、多様なユーザーが参加するワークショップで得られた知見をもとに、使いやすさとシェアのしやすさを追求したと説明しています。

ここで重要なのは、単に「誰でも使える形」を目指しただけではないという点です。

今回のパッケージが目指しているのは、より多くの人が自然にシェアする体験に参加できること。

つまり、製品の使いやすさだけでなく、その製品を通じて生まれる人と人との関係性まで設計対象としているのです。

■ ブランドの理念を、具体的な体験へ

ポッキーは長年、「Share happiness! ~分かち合うって、いいね!~」というスローガンを掲げてきました。

今回のパッケージは、そのブランドメッセージを実際の製品体験へ落とし込んだ取り組みともいえます。

さらに、今回の発売に合わせて「Share happiness!」のロゴも刷新されました。

新しいロゴでは、ゆとりのある文字間や普遍的な書体、ハートのワンポイントによって、世代や境遇を超えて思いを伝えるやさしさを表現しています。

興味深いのは、パッケージの構造と視覚的なブランド表現の両方で、同じ思想を具体化していることです。

企業が理念を掲げることは珍しくありません。

しかし、その理念を顧客が日常的に触れる製品の細部にまで反映できているかは、別の問題です。

今回のポッキーは、「分かち合う」というブランドの価値観を、言葉だけでなく、実際の行動を後押しする仕組みとして表現しています。

■ 考察:デザインは、行動や関係性まで変えられる

今回の取り組みから考えたいのは、デザインの対象がどこまで広がっているのかということです。

パッケージデザインと聞くと、多くの人は色やロゴ、イラスト、形状などを思い浮かべるかもしれません。

しかし、今回の事例では、それらに加えて「人がどのように商品を楽しむのか」という体験そのものが設計されています。

そして、その出発点には、多様なユーザーとの対話があります。

デザイナーが一方的に理想的な形を考えるのではなく、実際に使う人々の視点を取り入れながら、これまで気づかなかった可能性を探っていく。

そこに、インクルーシブデザインの大きな価値があると考えます。

もちろん、今回のパッケージが実際にどの程度コミュニケーションを増やしたのかは、今後の検証が必要です。

それでも、商品そのものを大きく変えることなく、利用体験を広げるという発想には、多くの企業が学べることがあるのではないでしょうか。

デザインとは、モノの形を整えるだけでなく、人の行動や、人と人との関係性をより良くするための手段でもある。

あなたが関わる製品やサービスにも、少しの工夫で新しい体験を生み出せる可能性はありませんか?


一次情報・参考資料

① 公式ニュースリリース(2026年10月7日)

「ポッキー」ブランド初の差し込めるパッケージを開発「シェアハピ!パッケージ」ポッキー、10月13日(火)期間限定発売複数人で囲め、コミュニケーションを後押し | 【公式】江崎グリコ(Glico)

②江崎グリコ株式会社HP

【公式】江崎グリコ(Glico)ようこそ、江崎グリコ(Glico)のWebサイトへ。企業情報や商品情報、お得なキャンペーン情報、さらには便利で役立つコンテンツなどをご紹介しています。

③NPO法人CollableHP

NPO法人Collable | ためにから、ともにへ。NPO法人Collableは、障害などの違いをこえた共創プロジェクトや環境デザインに伴走するインクルーシブデザイン&リサーチチームです。
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