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東京大学が「デザイン」を学ぶ新学部を設置へ。日本最高峰の大学が、いまデザイン教育に力を入れる理由とは?

日本のデザイン教育が、大きな転換点を迎えようとしています。

東京大学が、2027年9月の開設を目指して準備を進めている「UTokyo College of Design(価値創造学部)」。
注目したいのは、単にデザインを専門的に学ぶ学部が新設されるということではありません。

デザインを、複雑な社会課題を解決し、新しい価値を生み出すための学問として位置づけていることです。

今回の動きは、デザインが企業や社会で担う役割を改めて考えるきっかけになるのではないでしょうか。

■ 東京大学が目指す、新しいデザイン教育とは?

東京大学は、2025年4月に「UTokyo College of Design」の構想について記者発表を行いました。

2026年には開設に向けた準備が進み、2027年度入学者選抜の募集要項も公開されています。

この新たな教育課程の大きな特徴は、学士課程と修士課程をつなぐ5年一貫のプログラムであること。

1学年約100人を世界中から募集し、授業はすべて英語で実施される予定です。

そして何より特徴的なのが、その教育理念です。

従来のデザイン教育というと、グラフィック、プロダクト、建築、UI/UXなど、特定の領域における専門的な制作技術を学ぶイメージが強いかもしれません。

しかし、この新しい教育課程では、デザインをそうした専門領域に限定していません。

人文学、社会科学、自然科学、工学など、幅広い学術領域の知識を融合させ、現実の社会課題に向き合うための方法論として捉えています。

例えば、高齢化社会における医療や福祉、気候変動への対応、AIの社会実装など。

いずれも一つの専門知識だけでは解決が難しいテーマです。

こうした問題に対して、さまざまな知識を結びつけ、新たな解決策を構想し、社会で実践できる人材を育てようとしているのです。

■ 「学ぶ」だけでなく「社会で実践する」カリキュラム

具体的な教育内容にも、注目すべき特徴があります。

まず1年次には、幅広い学問分野の基礎に加え、8つのワークショップを通じてデザインの考え方や方法論を学びます。

さらに2年次以降は、社会課題を扱うプロジェクト型の授業などを通じて、知識を実践につなげていきます。

学問横断型の選択科目には、環境・持続可能性、AI・先端技術、ガバナンス・市場、医療・ウェルビーイング、文化・社会という5つの領域が設けられています。

そして4年次には、すべての学生が国内外の企業や国際機関などで約半年間のインターンシップに参加する計画です。

実際の組織や社会の中で課題に向き合い、学んだデザインの方法論を応用します。

最終的には、グループや個人によるデザインプロジェクトを通じて、自ら問いを立て、解決策を構想し、具体的な形にしていきます。

つまり、知識を習得することだけではなく、知識を組み合わせ、社会に新しい価値を実装することまでを教育の対象としているのです。

■ なぜ今、デザインが重要なのか?

この新学部構想を考えるうえで、注目したいのがデザインの捉え方です。

東京大学は公式サイトで、デザインについて、さまざまな学問領域から得られる知識を融合し、社会貢献へとつなぐ手法として説明しています。

その実践には、人や社会への共感、未来のビジョンの構想、プロトタイプによる検証、多様な人々との協働などが含まれます。

ここから見えてくるのは、デザインの役割が単にモノの見た目や形をつくることにとどまらないという考え方です。

例えば、AIの技術が発展したとしても、その技術を誰のために、どのような場面で、どのように使うべきかは自動的に決まりません。

医療の技術が進歩しても、患者や医療従事者にとって本当に使いやすい仕組みになるとは限りません。

技術や知識が存在することと、それが社会に価値を生むことの間には、まだ大きな距離があります。

その距離を埋めるために、課題を発見し、異なる専門性を結びつけ、未来のあり方を具体化していく。

そこに、デザインが果たせる重要な役割があるのではないでしょうか。

■ 考察:デザインを学ぶことは、未来の意思決定を学ぶこと

今回の東京大学の取り組みは、日本のデザイン教育だけでなく、ビジネスの世界にも重要な示唆を与えていると考えます。

企業活動においても、デザインはしばしば、製品やサービスの仕様が決まった後の制作工程として扱われます。

しかし、本来デザインが力を発揮できるのは、それよりも前の段階かもしれません。

どの社会課題に向き合うべきか。

誰に、どのような価値を提供すべきか。

技術をどのような体験へと変換すべきか。

こうした意思決定の段階からデザインの視点を取り入れることで、企業は新たな価値創造の可能性を広げられます。

東京大学がデザインを専門領域の枠を超えた教育課程として位置づけたことは、デザインの社会的な役割の広がりを象徴する動きとも捉えられます。

もちろん、新たな教育課程が実際にどのような人材を育て、社会にどのような成果をもたらすかは、これから検証されることです。

それでも、デザインを学ぶことが、単に美しいものをつくる技術を身につけることではなく、複雑な問題に向き合い、未来を構想する力を育てることにつながるという考え方には、大きな可能性を感じます。

デザインを、制作の技術から、社会やビジネスの未来をつくる力へ。

東京大学の新たな挑戦が、日本企業におけるデザインの位置づけにも、どのような変化をもたらしていくのか。

今後の展開に注目したいと思います。

あなたは、これからの企業において、デザインをどのような役割に位置づけるべきだと考えますか?


出典:東京大学「UTokyo College of Design」公式サイト、設置計画、カリキュラム紹介、2027年度入学者選抜情報

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